新年早々当たり外れが大きく、波乱含みのスタートとなった2012年。
色々な意味で激動の1年になる予感がするが、上手く乗り切っていければと思う。
さて1月に飲んだ日本酒は6本。
その中で今月のNO.1は、而今の新酒と池亀の黒麹仕込みの2本。
甲乙つけがたい旨さだ。
特に池亀については広島でもマイナーな存在だが、下記で紹介するお酒にもし出会う事が出来たら是非飲んで欲しい。
(日本酒の評価は★★★★★~なしで、個人的な好みで付けています。)
玉川 純米生もと コウノトリラベル ★★
京都府京丹後市 木下酒造 1,800ml 3,100円 酒商山田@中区幟町
蔵の詳細については2011年10月分の記事を参照の事。
本酒は正月用の酒として購入。コウノトリが書かれたラベルなので縁起が良さそうだと思ったからだ。
しかしよく見ずに買った僕が悪いのだが、このお酒はH21BYで僕の苦手な熟成香があるタイプ。
開栓初日はかなり飲みにくく、少し寂しい正月を迎えてしまった(苦笑
熟成香+生もとの酸味+辛口という味わい。
4日ほど常温保存を行い再度飲んでみると、熟成香が和らぎ随分と飲みやすくはなった。
玉川なら外れはないと思って買ったのだが、本酒は僕にとっては外れだったようだ。
開栓から1週間が経つ頃にはようやく飲みやすい雰囲気にはなった。
而今(じこん) 特別純米酒 ★★★★
三重県名張市 木屋正酒造 720ml 価格失念 酒商山田@中区幟町
ここ数年でその名を全国に知られるようになったお酒は幾つかあるが、而今もその中の一つ。
それらの蔵に共通するのは「若い杜氏」。
跡取り息子などが戻ってきて、心機一転自分のカラーを出して作ったお酒がヒットするという図式だ。
而今を醸す木屋正酒造は1818年に創業した酒蔵で、地元銘柄は「高砂」。
この蔵もご多分に漏れず、杜氏の大西氏が30代の若さで杜氏に就任し、自分の銘柄として醸した而今がヒットしたと言う流れだ。
僕個人的には、而今のくどさが苦手で積極的に飲む事はしていなかったのだが、今回は妻のチョイスという事で正月用に購入してみた。
結論から言うと飲んでビックリの旨さだった。
而今らしいフルーティーさや芳醇さは健在ながら、足りなかった切れが加わり、くどさが払拭されていた。
新酒らしいプチプチ感も僅かながら舌先で感じられる。
少し大げさかもしれないが、良い時の王禄「丈径」直汲みに匹敵するほどの旨さだと感じた。
他のスペックがこのような旨さなのかどうかは分からないが、少なくとも本酒は今までの而今のイメージを変えさせてくれた1本だ。
田むら 純米吟醸 山酒4号 生酒 ★★★
東京都福生市 田村酒造場 720ML 1,575円 フレスタ@安佐南区山本
本酒は昨年飲んだお酒の生酒タイプ。
僕の知る限りでは、広島市およびその周辺ではリカーズが入っているフレスタでしか入手できないお酒だ。
田むらを醸す田村酒造場は、1922年に福生村(当時)の名主を勤めていた九代目により創業され、現在に至る。
本酒は特約店でのみ販売され、蔵元でも購入は出来ないとの事。
味の構成は前回記事と大きく変わらないが、生酒のせいなんだろうか、やたらと軽い。
開栓2日目・3日目も味が乗ってくることはなかったので、50度ほどに温めて飲んでみた。
すると米の風味が少し開き、僕が本酒に対して抱いている印象に近くなった。
やはりこのお酒は燗がいいという事なんだろう。
池亀 純米大吟醸 黒仕立て ★★★★
福岡県久留米市 池亀酒造 720ml 1,575円 フレスタ@安佐南区山本
池亀酒造は筑後川のほとりにある酒蔵で、1875年の創業。
蔵の中に分析室を持っていて、そこから様々な新商品が生み出されているとの事。
池亀のお酒は昨夏飲んだ金魚たすきの「夏の酒」が初めて。
「夏の酒」を記事にする際に、焼酎に使われる黒麹で醸した日本酒「黒兜」という銘柄があることを知り非常に興味を抱いていた。
先に登場した「田むら」の生酒を目当てに訪れたフレスタで黒麹で仕込んだ本酒を発見し、思わず衝動買い。
本酒は「黒兜」という銘柄ではなく、蔵元の公式サイトにも掲載がないのだが、北九州の「なかしま酒店」に本酒の記事を発見。
どうやら黒麹で仕込んだ純米大吟醸は業界初とのことだ。
飲んでみると、熟した果実のような甘さが感じられるが、同時に酸味が押し寄せてきて、とても心地よい甘酸っぱさが口の中に広がる。
これは旨いなぁ。
本酒の感想についてツイッターではいくつか呟いたが、改めて思い返してみると栃木の「仙禽」に似た雰囲気だったなぁと思う。
温めて飲んでみると、思いの外、変わらない。
冷めてくるとやや酸味が経ってくるが、燗にしても良いと感じた。
村重 純米吟醸 ★★★★
山口県岩国市 村重酒造 720ml 1,050円 フレスタ@西区横川町
友人達が企画した村重酒造の見学に参加できず鬱屈としていたところ、ふと立ち寄ったフレスタで本酒を発見し購入。
村重酒造は1959年(昭和34年)に森乃井酒造を継承。
創業自体は森乃井酒造が明治初期との事なので、そこから計算すると140年超の歴史があることになる。
蔵の立地は山陽新幹線「新岩国駅」のすぐ近く。
超軟水と硬水のそれぞれが湧き出る井戸があって、造りによって水を使い分けているとの事。
メインの銘柄は金冠黒松。
僕は2年半前、昨年と2度この銘柄を購入した事が有り、いずれも少し甘めで、個人的なストライクゾーンからは外れていた。
今回購入した村重は、米の旨みがしっかり目に感じられる辛口酒。
口の中で転がす度に米の旨みが感じられる。
1,050円とは思えない出来栄えだ。
56度まで温めて飲んでみたが、この温度帯では風味が飛んでしまう。
ぬる燗程度まで下がってくると味が戻ってきて、やや強めに感じる辛味と穏やかな米の風味が感じられた。
開栓2日目はやや米の旨みが抜けたように感じるが、それでもコストパフォーマンスの高い1本だと思う。
極上吉乃川 特別純米酒 ★★★
新潟県長岡市 吉乃川株式会社 720ml 1,197円 お酒のにしおか@安佐南区八木
吉乃川株式会社は1548年(天文17年)創業の蔵。
何と上杉謙信が活躍していた時代からあるというのだから驚きだ。
ここの特徴は蔵人が栽培した米を使って醸している点。
夏は米作り、冬は酒造りと1年を通して蔵人が働ける環境を整えているそうだ。
今回は、極上吉乃川をお店の看板酒として扱ってらっしゃるお酒のにしおかにて購入。
本醸造から大吟醸まで色々揃っていたが、価格とスペックのバランスを見て本酒に決めた次第。
新潟と言うと端麗辛口のイメージが強いのだが、本酒はなかなか旨みのあるお酒だった。
嫌味のない適度な甘味が味のベースになっていて、苦味が切れを加えている。
飽きが来にくい造りで普段飲みに良いお酒だと感じた。
ご店主の話では、冷やして飲むのが旨いと蔵から言われていたそうだが、最近になって旨い燗酒のコンテストに入賞したとか何とかで、ぬる燗でも旨いと言ってきたそうだ(笑
実際にぬる燗で飲んでみると米の旨みがふくらみ、僕も燗の方が旨いと感じた。
■その他の日本酒に関する記事はこちらからご覧いただけます。
コメント