日本酒

2013年11月に家で飲んだ日本酒

日本酒
残念な事に、純米酒に醸造用アルコールを混ぜるなどの偽装が、幾つかの蔵で行われている事が発覚した。

そのあおりを受け、ブレンド(偽装していた蔵から知らずに偽装された酒を仕入れてしまい、それと自社醸造の酒を混ぜて販売)していた事を図らずも公表せざるを得なくなった蔵もあったとか。

個人的な意見だが、純米酒の偽装については多いに批判されるべきだと思うが、ブレンドについては特に問題視する事はないと思う。

今回のケースでは、今月掲載の「生道井(いくじい)」と言う酒のように自社醸造の酒をブレンドしていたのではなく、他社醸造の酒とのブランドだったので、批判的な意見が出た模様。

 
 
 
他社醸造の酒を仕入れることは「桶買い」と言って、一般的に(ではあるが、こっそりと)行われている。

※自社醸造の酒を他社に売ることは「桶売り」と言われる。

これは、他業種(車とか家電)で例えると「OEM」で供給を受けたという事になる。

 
 
 
日本酒というのは、ある意味、日本の伝統工芸的なイメージがあり、手造り・自社醸造が良しとされ、車や電化製品とは違う。

故に、桶買いブレンドは、手抜きと言うかダーティなイメージなんだろう。

 
 
 
経営の観点から考えると、自社で醸造できるキャパ以上に酒を販売できる桶買いはあってしかるべきだと思うし、買った酒の味が心配なら自社醸造とブレンドして販売する事も出来る。

また、酒造免許は持っているが造りを行っていない蔵の中には、桶買いした酒を自社ラベルで販売しながら、復活の機会を伺っている蔵もある。

桶売り・桶買い・他社醸造とのブレンドなど、陰でこそこそやっているから問題になるのであって、今後は思い切って公表(表示)を義務付けてみてはいかがだろうか。

また、逆に桶売り・桶買い、他社醸造酒とのブレンドを禁止し、それに頼っていた蔵が淘汰されるのを見届ける手もある。

とは言え、経済的な視点では禁止は現実的ではないだろうから、公表(表示)義務化が良さそうだ。

 
 
 
最初の内は、清廉潔白なイメージの銘醸蔵は(もし、やっていれば)ダメージを受けるかもしれないが、ぶっちゃけた方が何事もやりやすい。

そして、日本お得意の「横並び」で一斉に義務化を始めてしまえば、印象が薄れると言うメリットもあると思うのだが、いかがだろうか。

 
 
 
さて暴論はこの位にしておいて、今月の掲載は5本。

この中では、京都の英勲がNO.1だ。

石川酒店で取り扱いを始めた頃に飲んで旨かったので再度購入してみたが、切れの良い濃醇な味わいにノックダウン。

とても好みの酒だった。

 
 
 
(評価は、なし~★★★★★。あくまでも個人の主観による。)

 
 
 
月の井 純米吟醸 ひやおろし ★★ 茨城県東茨城郡 月の井酒造店 720ml 1,470円 石川酒店@西区古江西町

2006年4月4日に放送されたドラマ「さいごの約束」。

食道がんで余命半年と宣告された夫を妻が支え、夫との約束を実現するというストーリーのドラマだ。

夫役は舘ひろし、妻役は実に6年振りのドラマ出演となる安田成美。

その他にも香川照之や石黒賢、藤原紀香などが出演している。原作の著者は月の井酒造7代目の坂本敬子氏で、実話をもとに書かれているそうだ。

夫と交わした約束とは、「有機(オーガニック)」の日本酒を造るという事。

酒造りを何も知らない敬子氏が作り上げた酒は和の月という銘柄名で発売され、今では当蔵を代表する銘柄になったそうだ。

当蔵の創業は、1865年(慶応元年)。

松前屋の屋号で酒造りを始め、当時から飲まれ続けている銘柄が今回購入した月の井である。

当蔵のある大洗町発祥の民謡・磯節に「波の背に乗る秋の月」と詠われた当地の見事な月にあやかり命名されたとの事。

本酒は漁船の出船入船に欠かせない祝い酒として、今なお愛飲されている。

実際に飲んでみると、全体的には穏やかな辛口という印象で、初手から仕舞いまで終始バニラ臭をまとっている事が特徴として挙げられる。

個人的にはバニラ臭はあまり得意ではないんだが、酒の味自体は悪くないと思う。

 
 
 
美富久 山廃純米 ★★★
滋賀県甲賀市 美富久酒造 720ml 1,500円 てらや@中区富士見町

伊賀市とともに忍者の里をイメージしてしまう甲賀市。

その読み方は忍者の里の場合には「こうが」と読むが、地名として正式には「こうか」と読まれている。

2004年に5つの町(水口・甲南・甲賀・土山・信楽)が合併して市が誕生する際、投票により読み方が決められたとの事。

本酒を醸す美富久酒造(みふくしゅぞう)は、その中の水口町(みなくちちょう)に位置する。

かつて、水口宿という東海道五十三次の50番目の宿場として栄えた水口町に、1917年(大正6年)に創業したのが当蔵で山廃にこだわる蔵としても知られている。

今回購入したのは、美富久の山廃純米だ。

開栓直後はほんのりと乳酸系の香りが。

実際に飲んでみると、どちらかと言うとフルーティとも言える甘みに苦味が絡んでくるが、すぐに軽めの山廃乳酸系の旨味で舌の上が満たされる。

開栓から3日経つと、それ系のアニメに出てくる女の子のようにキュン♥︎とした乳酸系(ヨーグルトっぽい)の甘さが増し、初日よりも旨くなった。

ところでラベルに書かれているのは杉玉だろうか。

単純な図柄ではあるが、線の強弱のせいか、どことなくカワイイではないか。

 
 
 
 
澪スパークリング ★★★
京都市伏見区 宝酒造 150ml ?円 ユアーズLIVI@中区袋町

蔵については2012年4月の記事を参照の事。

本酒の事は数ヶ月前からTVCMで見かけていたが、いかにも女性ターゲットのお酒で、更に言うとシュワシュワ炭酸を添加したところが気に入らず、購入していなかった酒だ。

しかし「物は試し」と思い、買い物で立ち寄ったユアーズLIVIで最も小さなサイズの瓶を購入してみた。

飲むと、ヨーグルト系の味がするスパークリングワインのよう。

低アルコール(5%)である点も、現在の若年層に訴求するには適している。

日本酒オヤジには受けは悪そうだが、味はなかなか旨く、飲み口もキレイであることは事実。

資本力と宣伝力のある宝酒造の商品ということで、これをきっかけに日本酒に興味を持つ層が増えてくれることを期待したい。

 
 
 
英勲 純米 しぼりたて生原酒 ★★★ 京都市伏見区 齊藤酒造 720ml 1,270円 石川酒店@西区古江西町

兵庫県の灘と京都府の伏見は、西の酒処で有名な地域だ。

僕たちのような酒飲みは、ついついメジャーを否定しマイナーを肯定しがちであるので、灘・伏見の酒の評価を低く考えがちである。

例えば伏見の蔵というと月桂冠や松竹梅、黄桜などのTVCM銘柄が代表的で、酒飲みからすると「ほれ見たことか」と言わんばかりの蔵の名前が並んでいる。

しかし、そんな伏見において個人的に推している蔵が、本酒を醸す齊藤酒造だ。

創業は1895年(明治28年)。

大阪府南部地域から1600年代にこの地に移り住み、井筒屋井兵衛として8代に渡り呉服屋を営む。

そして、1895年(明治28年)に酒造業に転じたとの事。

柳正宗や大鷹という銘柄の酒を醸していたが、大正天皇の即位を記念して、当時先進国だった英国の英と勲章の勲から、英薫(えいくん)と命名。

現在では平成9年より全国新酒鑑評会にて14年連続で金賞を受賞するなど、高く評価されているとの事。

本酒は、図らずも今シーズン初の新酒として購入。

生酒らしいフレッシュ感が感じられ、丸い口当たりで甘みを伴った旨味がしっかりと堪能できる。

濃醇ではあるが後を引かないので、するすると喉を通る酒だ。

やはり僕は、英勲、好きだなぁ。

 
 
 
生道井(いくじい) 特別純米 杜氏厳選BLEND ★ 愛知県知多郡 原田酒造 720ml ?円 酒泉洞堀一@愛知県名古屋市

名古屋市の南、知多半島の付け根に位置する知多郡東浦町。

周囲を中規模の市に囲まれており、名古屋市へは町内の東浦知多インターから有料道路経由で22分で行く事ができるため、ベッドタウンとしての性格を持っている。

町の人口は49,869人(推計人口・平成25年10月1日時点)で、日本で二番目に人口が多い町としても知られている。

なお余談ではあるが、日本で一番人口の多い町は広島県安芸郡府中町(推計人口50,736人)だ。

於大の方(徳川家康の母親)の生誕地でもある同町周辺には大小問わず複数の河川が流れており、これらの伏流水を用いて酒造りが盛んな時期もあったとの事。

現在では、原田酒造を始め6蔵が存続し、酒を醸している。

当蔵の創業は1855年(安政二年)。

伊勢湾台風により酒蔵が損壊し移転を余儀なくされた事もあったが、現在では代表社員原田晃宏氏の下、越後杜氏の田村耕一氏を中心に酒造りをしているとの事。

さて本酒は、名古屋遠征の際に立ち寄った酒屋でラベルが気に入り購入。

前掛けのような布製のラベルが気入った訳だ。

開栓初日。

口当たりはとても丸く、ほのかにバニラ様の香りが感じられる。

仕舞いには辛さが効いており、余韻がさらさらと流れて消えていく。

開栓から3日が経つ頃には、飲んでいて頭にノイズが走る様な酒質になり、個人的には苦手な部類の酒であった。

なおノイズが走る酒を飲むと量が多くなくても翌朝に残るので、味の良し悪しとは別に相性の問題なんだろうと思う。

その他の日本酒に関する記事はこちらからご覧いただけます。

 
 
 
 

コメント

  1. ジジ より:
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    スパークリング日本酒で炭酸添加したやつは不味いのが多いですね。日本酒に炭酸入れました的な味がして。
    相原酒造の「微紅」はドライで好きだったのですが、最近飲んだらイマイチ。味が落ちたのか日本酒ばかり飲んでるので自分の舌が変わったのか。
    同じ相原酒造で雨後の月「Black Moon 」を飲んだのですが、なかなか美味しい酒でした。やや値段が高めであまり売ってないのと一升瓶しか見かけないのがあれですが。
  2. oomin より:
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    炭酸添加、嫌いではありません(笑)。
    微紅やすず音、ねね等、カンパイで飲んだりします。

    雨後の月は、杜氏が変わってから好きになった銘柄です。
    竹鶴、亀齢、雨後の月。
    広島のお酒も旨くて嬉しいです!
  3. K.E より:
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    京都ではありませが、奈良の「花巴」がオススメです。個人的にはドストライクな酒でした。
  4. oomin より:
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    花巴!
    その名前は知ってはいますが、まだ飲んだ事がないと思います。
    旨いんですってねぇ。
    噂では、小町のあいさん家で飲めるとは聞いていますが、取扱ってる酒販店があれば知りたいです!
  5. K.E より:
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    西条にある掛井酒店で購入しました。あそこは結構面白い酒が揃ってますよ。oominさんのご住まいの所からは遠いかもしれませんが、行く価値はある酒店だと思っています!
  6. oomin より:
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    なるほど!掛井酒店ですか!
    もう何年も行ってないんですが、たまには覗いてみないといけませんねぇ。
    情報、ありがとうございます。
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