最近、「酒の巣」の大将からいただいたアドバイスを思い出した。
酒の飲み方、向き合い方は人それぞれ。
旨い不味い、好き嫌い。
飲み方、酔い方、関わり方。
人に無理強いしてはいけない。
(以上、要約)
我が身を振り返ると、ドキッとする点もある。
楽しく飲むのがモットーなので、以上の事を守りながらワイワイ飲みたいものだ。
さて、今月の掲載は6本。
最も旨いと思ったのは「山香」で、最も好きなのは「華鳩」だった。
(評価は、なし~★★★★★まで。あくまでも個人の主観に基づく。)
◼️山香 純米吟醸 ★★★★
奈良県葛城市 梅乃宿酒造 720ml 1,313円 石川酒店@西区古江西町
蔵については、2013年8月の記事を参照の事。
先月飲んだ風香(ふうか)が好みではなかったので候補に入れてなかったのだが、店員の強い勧めもあり、試してみる事にした。
開栓直後。
飲むと表示よりもアルコール度数が高く感じる。
ベースの米感は結構強いが、苦味が全面に出ているので飲み口はあまり良くない。
二杯目は苦味と酸味が主役。
三杯目から山田錦らしい旨味が出てき始め、四杯目以降は旨味と酸味で楽しめるようになった。
このお酒は、開栓からしばらく味わいがクルクル変わったが、最終的には旨い酒という結論に達したのである。
◼️青海島 ワンカップ ★★
山口県長門市 小崎酒造 180ml 300円台 花津浦@仙崎遊覧船乗り場前
山口県長門市は、萩市と並び山口県北部の中心的な都市のひとつである。
その中心部・深川地区に、本酒を醸す小崎酒造(こさきしゅぞう)は所在する。
当蔵近くには正明市という名の信号があるが、ここはかつて萩と下関を結ぶ赤間関や北浦筋、中道筋に分岐する交通の要衝だったそうで、そこにあった市場町の名が信号に使われているとの事。
萩藩の代官所や高札場が置かれたことから、長門市発祥の場所とも言われている。
創業は1866年(慶応2年)。
仕込み水には深川川の伏流水を使用し酒を醸しているとの事。
本酒は、小崎酒造が盆休みだったため、仙崎の遊覧船乗り場前の土産屋で発見して購入した。
実際に飲んでみると、一瞬、おや?と思う甘さが感じられるが、それはすぐに消え、サッパリする酸味と辛味が押し寄せる。
この甘みは得意ではないが、まあそこまで悪く言うほどでもない。
友人曰く、四段掛け(発酵完了直前に少量の蒸米を加えること。甘みが大きくなるそうだ。)を施した上で、薄めているのではないかとの事。
僕は四段掛けというのは知らなかったんだが、「水を加えて量を増やすが味が薄くなってはいけないので、甘さを増す製法を採った」という解釈で良いんだろうか。
◼️末廣 猫魔の雫 純米吟醸原酒 ★★★
福島県会津若松市 末廣酒造 720ml 1,350円 石川酒店@西区古江西町
思えば末廣とは、一昨年3月に品川で偶然に出会った。
品川プリンスホテルの足元にある「酒茶論」という古酒バーに入り、そこで飲んだ末廣のオーク樽熟成の12年物は紹興酒のようで若干スモーキー。
古酒の面白さに少しだけ気付かされた出会いだった。
福島県会津若松市にある末廣酒造(すえひろしゅぞう)にはレンガ造りの古酒蔵があり、一昨年飲んだのはそこで熟成させた酒だろうと思う。
創業は1850年(嘉永3年)。
山廃の試験醸造を行ったり、いち早く契約栽培の酒米を使用したり、セールスプロモーションの一環で、宇都宮市内を酒瓶の被り物を身に着けて練り歩くなど、その時代で新しい取り組みをしているとの事。
さて、福島県の猫魔ヶ岳に由来するであろう本酒の味だが、口に含んだ瞬間は旨味が堪能出来、飲み込んだ瞬間からは辛味が追い立ててくる。
猫の爪のような鋭さだ、とでも書けば上手いのかもしれないが、実際はピリピリとした辛さだ。
しばし経つと辛味は穏やかになりはじめた。基本は旨みの強いフルボディ系である。
◼️みすず大吟醸 ★★
山口県長門市 大津酒類醸造 300ml 600円台 花津浦@仙崎遊覧船乗り場前
お盆の萩遠征時に見つけた複数の酒造組合未加盟蔵の一つ、大津酒類醸造。
1915年(大正5年)に、広域農道から外れた長門市の山間にて創業。
現在では渓流オープンカフェ「だいだいの花」を併設されており、日本酒よりも「だいだい」のリキュールが知られているとの事。
「だいだい」は、「代々栄える」縁起の良い果実と言われ、長門市出身の詩人金子みすずが詠った「だいだいの花」にも掛かっていることから商品化されたのだろうか。
さて本酒は、「青海島」目当てで立ち寄った土産屋で見つけて購入。
開栓直後は、バニラのような香りとフルーティな香りが混じったような印象だ。
飲み口はさっぱりとし仕舞いは舌がピリピリと。
さらっとした味わいの酒ではあるが、数日経つと風味が抜け、嫌なところが目立ってきた。
◼️瑞冠 敷信村 ★★
三次市甲奴町 山岡酒造 720ml ?円 アバンセ@西区古江新町
蔵については2013年4月の記事を参照の事。
本酒は近所のアバンセに立ち寄った際、見たことのない酒があると思い、大して確認せずに購入。
帰宅して裏のラベルを読んでみると、山岡酒造の酒と言うことが分かり、飲んだことのない蔵の酒だと思っていた自分に、多少呆れてしまった。
さて、開栓直後の香りは少しのバニラ臭とアルコール感。
味の方は、仕舞いに感じる辛味と少しの苦味が特徴か。
瑞冠のレギュラーシリーズの純米が好きなのでつい比べてしまうが、敷信村(しのうそん)は辛味が邪魔なように僕には感じられた。
◼️華鳩特別純米華コロンブ瓶囲い ★★★
呉市音戸町 榎酒造 720ml 1,320円 石川酒店@西区古江西町
音戸と言えば思い出されるのは、らせん状の音戸大橋。
1961年(昭和36年)に瀬戸内海で初めての離島架橋事例として掛けられた橋である。
開通時は日本道路公団が管理する有料道路だったが、1974年(昭和49年)に無料化され現在に至る。
2013年3月には第2音戸大橋が架橋され慢性的な交通渋滞の解消に期待が寄せられているとの事。
そんな音戸町に1899年(明治32年)に創業したのが榎酒造だ。
当蔵は日本で初めて貴醸酒(日本酒で仕込んだ日本酒)を醸造した蔵としても有名である。
銘柄名「華鳩」の由来は、昔の国語の教科書の冒頭が「ハナ、ハト、マメ、マス」だった事から、誰でも知っている「ハナハト」にしたとの事。
個人的には特段の印象のない蔵だが、ラベルに惹かれて、たまには飲んでみようと思い購入したのが本酒である。
実際に飲んでみると、とても滑らかな舌触り。
安定した米の旨みがベースにあり、辛味と軽めの酸味のカプセルがパン!と弾けて、一気に印象が変わる。
これはなかなか旨いのではないだろうか。
二杯目以降もベースに感じる印象は変わらず。
ところでコロンブとは、フランス語で鳩を意味するそうだ。
ネーミングと言いイラストと言い、センスの良い女性デザイナーでも起用されたのだろうか。
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コメント
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私も敷信村の評価はそのぐらいかもしれません。oominさんのように上手くは説明出来ませんが瑞冠らしからぬ味わいだったような覚えがあります。瑞冠は好きですが、瑞冠ってこんな感じだったけ?と、疑問を持った程です。
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飲んだことないけど「山香」は堅いデザインのラベルがいい感じですね。
最近「獺祭」の45を飲んだのですが、前に50を飲んだ時より美味しい気がしました。冷酒だといい感じに辛口でぬるくなると甘みも出てくる。飽きない酒なのかな。コスパもいいし。
個人的には料理に負けない日本酒がいいかな。一口目しか味が分からない日本酒も結構多い気がする。
ちなみに今年、純粋に美味しかった酒は「奈良萬」かも。でももっと評価上がると入手困難になりそうな気が。
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敷信村って、美味しくないわけではないんですが、瑞冠と思うとしっくりこないんですよねぇ。そう思わなければ、それなりに旨い辛口のお酒なんですが。。。
ま、色々と試みをされているんでしょう。
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購入した酒屋で聞いたんですが、風香は風のように軽やかに、山香は山のようにどっしりとをイメージして作られたんだそうですよ。
料理に負けないお酒ですか〜。
奥播磨の誠保・笑四季モンスーンの熱燗は米感が強くて、料理にも負けないですよ。
奥播磨は山田と大和屋にあったと思うので、一度試されてはいかがでしょうか。