「元祖」と聞くとちょっと身構えてしまう癖がありまして、ついつい「本当に元祖?」と疑ってかかる始末。
「一番最初に始めた」という意味で使われる言葉と認識しておりますが、あちこちに「元祖」があって、よく分からないことになっています。
特に広島のソウルフードであるお好み焼きで使用頻度が高いように思われ、「元祖○○村」「元祖△△焼き」「元祖□□や」「元祖○○ちゃん」と元祖だらけ。。。
本当にその料理もしくはその系統の元祖であれば文句はありませんが、極めて疑わしいお店もちらほらと。
地元民である我々の事はさておき、観光で広島にお越しいただく方々に変な誤解を与えなければいいなと、勝手に心配しております。
さて、『元祖八昌』。
八昌の名が付くお店は幾つもありますが、今回訪れたお店がその源流との事。
僕が訪れた事がある八昌は、五日市の「八昌」(大将が焼いていた頃)と胡町にある「たかのばし八昌」の2店のみで、麺の焼き時間長めのパリパリ仕上げと二黄卵が印象的でした。
はてさて、『元祖八昌』の焼き方はどんな感じなのでしょうか。
お店の場所は中区竹屋町。
国道2号線の北筋にあたる通りで、ひっそりと営業されています。
二箇所ある入口は常に開放されていて、様子が丸見えの店内。
客席は、鉄板とその周囲に5席ほどが用意されているのみ。
お店の切盛りは、ご店主と思われる女性と接客担当の女性の2名体制です。
お店に入る直前に「いらっしゃいませ」と言われ、席に着く前に「何にします?」と聞かれ、もちろん肉玉そばと答えはしましたが、ややせっかちな展開かな(苦笑
焼き方は先に出た訪問済みの八昌とは異なり、なかなか個性的な手順。
大まかに言うと、「焼き時間が短い」「そばをパリパリにしない」「そばと本体の合体後に上から押さえつける」の3点が特徴でしょうか。
詳細な手順は以下の通り。
生地は大きめで楕円を描き、キャベツ・もやし・青ネギ・胡椒・魚粉・天かす・豚バラの順に乗せ、つなぎとラードで反転。
鉄板温度が高いんでしょう、パリパリと音を立てて本体を焼いている間に、生麺を茹で上げます。
そばが茹で上がったら鉄板上で軽く整形し、間髪いれずにそばの上に本体を乗せます。
一般的に生麺をお使いのお店だと、そばを焼く工程を入れてカリカリ感を出しますので、これはわりと珍しい工程かなと。
ヘラで上からぎゅうっと押さえ付けたら卵を割り、貼り付け、しっかり目に熱を通して反転。
ソース、胡椒、青海苔で完成です。
ちょっと驚いたのは、ヘラで切っても層が崩れにくいこと。
そばの質感とつなぎ、上からの圧力がこれを成しているのかもしれません。
そばの食感はガシッとしていて、固めに茹でられた中太麺ならではの食感といえるのではないでしょうか。
野菜はパリポリとした食感。
熱の通り具合は浅いですが、生ではなく、絶妙な食感が残っています。
通常は食べているうちに熱が通るものですが、こちらのは変化なし。
客前の鉄板温度も高いと思われますので、これまた面白い現象でした。
胡椒が強いのも特徴的。
全体的にボリュームが多く、そば1玉にもかかわらず、食べ終えた時には空腹は十二分に満たされておりました。
『元祖八昌』。
僕が観光で訪れるなら、源流となるこのお店でお好み焼きを食べたいものです。
この記事が広島を訪れる観光客の方の目に留まり、有名店「八昌」の源流を体験していただくことで、より有意義な旅行になりますように。
ごちそうさまでした!!!
(2013.3)
※観光客狙いのお店に行くよりも、あの「八昌」の「元祖」に行ったとあれば、土産話&自慢話の一つにはなるかなと思います。
■お店のデータ
元祖八昌
広島市中区竹屋町5-21
0822438776
10~16時
定休日:日曜日
■元祖八昌の訪問記
・元祖八昌2(2018.5)
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