「経済は人口の波で動く」このサブタイトルに魅かれてこの本を買った。
経済成長率を上げる
インフレ誘導
公共工事を増やす
いわゆる「成長戦略」が上手くいくと景気が回復する、とよく語られている昨今。
本書では少し違う見方をしていて、【少子高齢化】を何とかしないと、何をやっても効果がないと論じている。
一般的に【少子高齢化】は、医療費増や年金不安として語られることが多い。
しかし著者は、高齢者が増える事による内需の縮小が問題だと提起している。
高齢者は「将来の医療福祉関連支出」の保全を優先することが多いので、それ以外の支出を控えてしまう。
高齢化により支出を控える層が増える→モノ・サービスが売れなくなる→企業の売り上げが減少→従業員の給料が上がらない(もしくは下がる)→現役世代も支出を控える→モノ・サービスが売れなくなる・・・というループに入り込む、という内容が書かれている。
人口構造が変わることにより経済が左右されると言う話は、あまり意識していなかったが、言われてみればそうかもしれない。
本書では、少子高齢化は「現役世代(15~64歳)の減少」と「高齢者(65歳以上)の増加」が同時進行で起こる現象と定義している。
ということは、団塊世代が続々とリタイアしている現代は、かなりヤバイ状況と言うことなのだろうか。。。
著者は都道府県別に人口構造の変化の数字を明らかにしており、2000年→2005年の数字を見るとこのようになっている(出展:総務省統計局)。
青森県 現役世代 5.4万人減 高齢者 3.9万人増
東京都 現役世代 1万人増 高齢者 39万人増
広島県 現役世代 6万人減 高齢者 7万人増
全国 現役世代 212万人減 高齢者 367万人増
総人口が減少に転じたことはニュースで聞いていたが、現役世代と高齢者の人口構造がこんなにも変わっている事に驚いた。
※僕独自で、2005→2009年の人口構造の変化を調べてみました。
青森県 現役世代 4.8万人減 高齢者 1.8万人増
東京都 現役世代 3・7万人減 高齢者 39万人増
広島県 現役世代 6.3万人減 高齢者 7.7万人増
全国 現役世代 260万人減 高齢者 333万人増
身近な高齢者(自分の親とか祖父母とか)をイメージしてみると、食べる量は減ったし洋服は買わないし、車や住宅も現状維持で良いとしている。
貯金がいくらあるかは知らないが、確かに支出は少なくなっていると思う。
僕だって高齢者になったらそうするだろう。
と言うことは、今、盛んに言われている成長戦略は、上手くいったとしても必ずしもドンピシャの政策ではないと言うことなのだろうか。
著者はこの問題を解決する手立てとして以下のようなことを提言している。
高齢者から若者への財産移転:使わない人から使う人へ
女性が働きやすくなる環境を整える:稼ぎ手を増やして内需拡大
外国人観光客の増加:お金を使ってくれる人の呼び込み
僕は経済の専門家ではないしアナリストでもないので、これらを実行すれば効果的かどうかは分らない。
でも今まで聞いた中では一番納得感がある内容と感じた。
週に1回だが本屋をブラッと歩くとこういう面白い本に出会うこともある。
だから止められないんだな、本屋巡りって。
デフレの正体 藻谷浩介著 日本政策投資銀行参事役
角川ONEテーマ
コメント
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はじめまして。
いろんなことに興味関心をお持ちのようで、ブログを拝見して
いるだけで勉強になることが多く、この場をお借りしてお礼
申し上げます。
古き良き日本と現代とで”少子高齢化”が大きな社会構造の
変化として取上げられますが、もう一つ”核家族化”も挙げられる
のではないかと感じています。最近、クローズアップされている
(所在不明の)高齢者問題なんかもその代表例ではないでしょうか?
二世帯や三世帯で住んでいた時代であれば、孫への出費なんか
も別財布でおじいちゃん等の高齢者が喜んで対応してくれていた
はずなのですが…
また仕事と家庭の両立ということで言えば、(労働人口の減少が懸念
される昨今において)産休明けの女性のスムーズな復帰を促す観点から
(子ども手当て等より)保育所等の子育ての受け皿づくりが喫緊の課題では
ないかと感じました。今回の件を通じて、内容的に興味を憶えましたので
早速、本屋で探してみることにします。ありがとうございました。
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Kidmanさま
このようなコメントを頂く事が
ブログを書き続ける原動力になります。
今後もジャンルを問わず
面白いと思った本などを紹介していきますので
よろしくお付き合いくださいね。
oomin