日常の風景

広島駅行き広電宮島線の車内には中学生と思われる修学旅行生がたくさんいた。

相生橋を渡った直後、彼らから歓声が上がった。

「うぉー！すげぇ！」「原爆ドームってあれなの？」「でっけぇー！」

ほとんどの子は、初めて肉眼で見る「原爆ドーム」に視線が釘付け。

 
 
 
仕事で堺町へ自転車で移動中に、平和公園にいるたくさんの修学旅行生を見た。

「原爆の子の像」の足元、折鶴台に折鶴をささげる直前だ。

その視線の先にはやはり「原爆ドーム」が。

彼らからは控えめではあるが、同様の歓声が上がる。

 
 
 
「広島って、なんも面白いもんがないのに、なんで修学旅行に来るんかねぇ？」

そう、広島に住んでいる僕たちにとっては「原爆ドーム」は日常の風景で、面白くもなんともない。

でも、初めて来る人にとってはとても新鮮で、人類の愚かしい所業を繰り返さないためのモニュメント的存在として記憶に刻まれる。

 
 
 
宮島の大鳥居
富士山
万里の長城
ナイアガラの滝

 
 
 
そこに住んでいる人にとっては、それは日常の風景だ。

特別な存在ではない。

 
 
 
不景気だ、どん底だといわれても、世界的には裕福な国、モノ余り日本。僕たちはいつも、多くの物に囲まれて暮らしている。

それは有って当たり前。空気のような存在。

家族
パートナー
健康
モノ
情報

失って気付く。

でも、出来る事なら失う前に気付きたい。

今ここにある日常の風景は「かけがえのない」存在である事を。