今月の掲載酒
■ぷちしゅわ日本酒 ちょびっと乾杯
■円通 吟醸健康思考酒
■白鶴 純米吟醸
■自耕自醸 純米無濾過生原酒
■雁木 純米吟醸無濾過生原酒
■廣島どぶろく
1つのお酒を色々な温度で飲むと、また違った顔が出てきて面白いものです。
あるお酒は、冷え冷えだとちょっと固い印象でしたが、常温が近づくと米っぽさが顔を出し、50度くらいに温めると酸と共にコクがプラス。
ワインでも同様の事が楽しめますが、これって醸造酒ならではの楽しみなんでしょうかね。
一方で、「酒は常温(燗)に限る!」というこだわりをお持ちの方もいらっしゃいます。
僕個人的には、その考え方は一度通ってきたので肯定的に受け止めますが、燗でも冷え冷えでも常温でも、そのお酒が一番旨く感じる温度帯で飲めばいいんじゃないかと思っているんです。
その人のこだわりの温度帯で飲み、好みじゃないからという理由だけで、1本の酒を切り捨てるのはもったいない話。
同様に、僕もかつて主張していた純米原理主義にも、最近は疑問を抱いています。
そんなに幅を狭めなくても、と(苦笑
ま、結局、楽しくて旨ければ良いんじゃないでしょうか。
(評価は、なし~★★★★★まで。僕の好みで評点を付けています。)
ぷちしゅわ日本酒 ちょびっと乾杯 ★★
醸造元:花の舞酒造(静岡県)
定期的に訪れる「やまや五日市店」で売られていたのを見て、その日のディナー(単なる家飲みですが)の乾杯酒に選んでみました。
醸しているのは静岡の蔵:花の舞酒造なんですね。
開運や礒自慢、初亀・喜久酔・志太泉などは知っていましたが、花の舞は初めて聞きました。
今回購入したお酒は、松竹梅の「澪」に代表される甘めの微炭酸である事は分かっていましたが、飲んだ事のない銘柄ですから、ねぇ(笑)。
実際に飲んでみると、ヨーグルトっぽい香りと酸味・甘みが特徴。想定通りの味わいですが、「澪」よりも甘い造り。
低アルコールなのでクイッと飲めてしまいます。
面白いのは、後口にほのかに感じる熟成感。
瓶詰めから僕の手元に来るまで10ヶ月。
その間、蛍光灯の下で売られていたからでしょうか。
ま、このお酒には熟成感とかいらないんですけどね(苦笑)。
円通 吟醸健康思考酒 ★★★
醸造元:田熊酒造(広島県・廃業)
数年前に廃業した酒蔵のお酒なんですが、ひょんな事から入手する事ができました。
購入時に聞いた話では、アル添(吟醸)の部類ではありますが、自家製5年熟成米焼酎(乙類)を添加したお酒なので馴染みが良いとの事。
さて、15年物と言われたこのお酒、どんな感じなんでしょうか。
開栓初日。
15年も常温保管されたとは思えないほど熟成香は軽く、実際に飲んでみても印象は同じです。米の旨味・コクはそこそこあって、辛さが前に出ている組立。
そういえば日本酒度プラス9と聞いたなぁ。
開栓から2週間経つと、熟成が進んだ雰囲気が出て来て、チョコ系の香りがプラス。
飲んでみるとチョコ感は香りだけで、味わいとしてはコクが強くなり辛味が減ったように思います。
このお酒は辛さが特徴的。
ピリピリ刺すような刺激ではなく、馴染むような辛味で穏やかに消えていきます。
実は未開栓の一升瓶が一本ありますので、ご希望の方にはいつか振舞えたらと思っています。
白鶴 純米吟醸 ★★
醸造元:白鶴酒造(兵庫県)
氷川きよしが出演する「まる(紙パック酒)」のCMでおなじみの白鶴酒造。
親が人からいただいたようでして、大吟醸・特別純米と合わせて3本の白鶴が我が家にやって参りました。
純米吟醸や大吟醸と書くと高そうに見えますが、イオンで1,000円位で販売されてるんですよ(苦笑)。
この日は、常温保管からの開栓。
フルーティーなフレーバーに加え、山田錦ぽい旨味が。
後口には辛味が残ります。
これはなかなか上手に造ったなと思ったんですが、2杯目以降はバランスが崩れ、辛味旨味苦味がバラバラに。
試しに冷蔵庫でしっかり冷やしてみると、まずまず飲める感じになりました。
このお酒は冷蔵推奨ですかね。
自耕自醸 純米無濾過生原酒 ★★★★
醸造元:天寿酒造(秋田県)
鳥海山などを醸している天寿酒造のお酒で、広島では、僕はほとんど見かけた事がありません。
そんなお酒を、たまたま立ち寄った倉敷市内の酒屋で見つけたものですから、購入しないわけにはいきません(笑)。
帰宅してスペックを見てみると、秋田の飯米めんこいなとベゴニアから分離したベゴニア酵母を使ったお酒との事。
いわゆる花酵母は、佐賀県の天吹酒造が得意にしています。
ベゴニアの天吹は飲んだ事がありますが、バナナのような甘い香りが印象に残っていて、あまり好みではありませんでした。
さて、このお酒はどうでしょうか。
冷蔵庫で冷やしてから、開栓してみました。
開栓時は生酒っぽいフレッシュな香り。
実際に飲んでみると、たおやかに旨・辛・苦が感じられ、最後はスーッと味が消えていきます。
舌で転がして空気を含めてみると、苦味も目立ちますがそれ以上にフルボディな旨味が。
飲んでいるうちに、以前飲んだ「高砂」の山廃生のような強い旨味と乳酸系の甘味、酸味が出てきて、これは嬉しい誤算です。
同じ秋田で比べると、「雪の芽舎」の秘伝山廃よりも乳酸系の甘酸っぱさが強い感じ。
そして、バナナっぽい香りはせず、これは僕好みの酒ではありませんか。
1,200円台というお値段を考えると、とてもコストパフォーマンスが高い1本。
旨口のお酒が好みなら、是非。
雁木 純米吟醸無濾過生原酒 ★★★
醸造元:八百新酒造(山口県)
岩国市内に紅葉狩りに行ったついでに、蔵に立ち寄り、このお酒を購入しました。
蔵に在庫があるのは純米大吟醸と純米吟醸だけと言われ、聞くと生産が追いついていない様子。
これなら石川酒店の方がラインナップが揃ってるかもと思いましたが、図らずも新酒を買う事が出来たので、何だか得した気分に(笑)。
冷蔵庫で冷やして開栓してみました。
瓶口からは、生っぽいフレッシュな香りが感じられます。
実際に飲んでみると、ミディアムボディなコクにちらっと果実っぽい酸味。
紫色の小さな粒のぶどうのような酸味と言えば良いでしょうか。
そして、わずかにプチ感(微炭酸)も残っています。
純米の無濾過生原酒と比べるとスリムな印象ですが、苦味による味の切れも良く、食中には向いていると思います。
この日は、椎茸ステーキやクリームチーズのスモークサーモン巻きと合わせましたが、バター醤油で仕上げた椎茸ステーキとの相性は良かったように思いました。
廣島どぶろく ★★★
醸造元:池本昭夫氏(広島県)
而今のにごりでもないかなと思い訪れた酒商山田で、偶然見つけたこのどぶろく。
平成22年11月にどぶろく特区の認定を受けた世羅町で、喜久牡丹酒造の元工場長だった池本氏が醸したお酒なんだそうです。
広島のお酒を全て飲んだと思っていたら、どぶろくが抜けていたなんて(苦笑)。
と言うことで、買い求めたその日に開栓して飲んでみました。
買ったのは小瓶なので、おそるおそるスクリューキャップを回してみましたが、液面が上がってくることなく、平穏に開栓。
香りからは雑味と酸味が雰囲気として感じられ、実際に飲んでみるとそこに苦味も加わり、どぶろく独特のテイストが感じられます。
日本酒度マイナス5との記載ですが、瓶にも貼ってあるようにむしろ辛口。
広島吟醸酵母を使っていると言う事でしたが、らしいフルーティーさは感じられませんでした。
瓶の底の方は、まさにお粥。
僕にはちょっとエグイというかクドかったので、試しにお湯で割ってみたら飲みやすくなり、これはなかなか良かったです。
北広島町にもどぶろくがある事を知りましたので、そちらも飲んでみなくてはいけませんねぇ。
道の駅でも取扱がありそうなので、買いに行ってみようと思います。
(了)
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