今月の掲載は9本。
比較的アベレージが高く、概ね満足の月だった。
特に青森の鰺ケ澤は、広島では富士見町の「てらや」でしか売られていないと思われ、レアな酒と言っても良いだろう。
この手の酒はネットで調べて通販するのが楽で良いのだろうが、僕は店頭での出会いを楽しみたいので、実店舗での購入を続けていきたい。
(評価は、なし~★★★★★まで。あくまでも個人の感想である。)
醉心 八反三十五号 純米生原酒 ★★★
三原市東町 醉心山根本店 720ml ?円 石川酒店@西区古江西町
3代将軍徳川家光の乳母だった春日局。
家光の生母の死後は大奥を取り仕切り、老中を上回る権力を握っていたとされる。
本名は、斎藤福。
乳母になる前は稲葉正成の後妻として三原市で過ごした時期もあったそうだ。
三原市と言うと、たこ・やっさ饅頭など地味なものがイメージされがちだが、近年ではクリームパンの八天堂が本社を置くことでも知られている。
排出した人物は、「修羅の門」の作者:川原正敏、マサカリ投法の村田兆冶など。
そんな三原市にはかつて駅前に天満屋があったが、現在では撤退。
中心部である城町界隈は、実に寂しい雰囲気だ。
一方で、三菱重工や帝人・シャープ・大日本印刷の工場があり、雇用の確保と共に市の基幹産業となっているとの事。
本酒を醸す醉心山根本店は、三原赤十字病院を中心に据える東町に、1860年(万延元年)に創業。
現在では使われなくなったが、3号酵母発祥の蔵としても知られており、戦前から全国的に知名度が高い蔵である。
本酒は、目当てが無く立ち寄った石川酒店で見かけて購入した。
醉心という銘柄は普段飲まないので、「たまにはね」と思った訳だ。
そして、酒米が八反錦の父に当たる八反三十五号という点にも惹かれた。
栓を開けてみると、酸が高そうな香りが感じられる。
実際に飲んでみると旨味が濃く、酸はしっかり。
濃醇で切れの良い酒は久々かもしれない。
原酒由来のアルコール度数の高さはあまり感じられず、口当たりは滑らかでスイスイ飲めてしまう。
この日は、イカの肝炒めと合わせてみたが、予想通りの相性の良さだった。
雁木 おりがらみ秋熟 無ろ過生原酒 ★★★★
山口県岩国市 八百新酒造 720ml 1,449円 石川酒店@西区古江西町
蔵については2012年12月の記事を参照の事。
石川酒店のブログに本酒の事が掲載されており、読むとかなり旨そうな表現だったので、本酒の購入を狙って石川酒店を訪問。
残り本数は少なかったが、無事に入手できたので早速飲んでみた。
熟す一歩手前のフルーツのような旨味と甘味。
仕舞いには酸と穏やかな苦味辛味が効いているので、後味はしつこくない。
「滓(おり)が酒に溶けて味が濃醇に」とは蔵元のコメント。
確かに、その通りの旨さだった。
純米吟醸・純米大吟醸の秋熟もあるので、もし残っていたら買ってもいいと思う。
比婆美人 純米 生貯蔵酒 ★★
庄原市三日市町 比婆美人酒造 720ml 1,000円 ふたば酒店@東区光町
比婆美人酒造のある三日市町は西城川沿いの丘の上に開けた街で、かつては市場町として発展。
そのため、町屋造りの家やなまこ壁などの古い街並みが少ないながらも残っており、往時をしのばせてくれる。
比婆美人酒造の歴史は比較的新しく、前身の平和酒造が出来たのが1948年(昭和23年)。
備北地方の9つの蔵が合併して設立されたとの事。
1960年(昭和35年)に社名が改称され、現在に至る。
近年では日本酒ベースの梅酒を発売するなど新しい試みにも取り組まれているそうだ。
さて本酒は、初めて訪れたふたば酒店で見かけ、これは珍しいなと思い購入。
開栓初日は後口がほんのりと甘く、苦味も効いている感じ。
2日目以降は、甘さが取れてきりっとした味わいに。
当蔵の酒は甘口という印象だったが、本酒に関しては端麗辛口という評価でいいと思う。
玉櫻 純米とろとろにごり ★★★★
島根県邑智郡 玉櫻酒造 720ml 1,200円 ふたば酒店@東区光町
玉櫻酒造がある邑智郡邑南町は、スキー場の瑞穂ハイランドがあり、個人的には「ゲレンデがとけるほど恋したい」時代の前後で何度か訪れたことがある。
余談ではあるが、パラレルターンの習得途中でスキーに行かなくなったため、現在ではボーゲンしか出来ないだろうから残念だ。
島根県の中央部に位置する同町は、面積の80%を森林が占め、江の川や断魚渓、千丈渓などの景勝地を擁する。また、オオサンショウウオの生息密度においては日本一との事。
このように自然溢れる邑南町にある酒蔵が、玉櫻酒造である。創業は1892年(明治25年)。
現在ではアラサー世代の櫻尾尚平氏が杜氏を勤めており、弟の圭司氏がそのサポートを行っているそうだ。
さて本酒は、ふたば酒店ご店主一押しという事で、先に紹介した比婆美人と同時に購入した。
瓶をひっくり返して混ぜる前に上澄み部分だけ飲んでみると、とても品の良い甘さが感じられ、例えるなら和菓子に使われる和三盆のような甘さである。
次に混ぜて飲んでみると、切れの良い甘さで多少の酸と苦味が感じられる。
中島屋酒造場のにごりと比べるとインパクトは薄いが、飲みやすさでは群を抜いて本酒の方が上。
この酒に出会えたのはふたば酒店のご店主のお陰だ。感謝。
シャルウィダンス ★★
佐賀県鹿島市 光武酒造場 500ml 838円 デイリンク@西区庚午中
佐賀県南部に位置し、有明海に面する鹿島市。
「市」であるための人口要件3万人をぎりぎり満たす同市は、実は酒どころで、7つもの酒蔵が存在する。
その内の6蔵により、昨年から「酒蔵ツーリズム」という酒祭りが開催されているそうだ。
2日間で約5万人の来場があったこのイベントは、地域活性策として注目を集めているとの事。
ちなみに、鹿島市にある酒蔵は、富久千代酒造(鍋島)、馬場酒造場(能古見)、矢野酒造(肥前蔵心)、峰松一清酒造場(菊王将)、幸姫酒造(幸姫)、水頭喜弘酒造場(萬壽亀)、そして本酒を醸す光武酒造場の7つで、鍋島以外は飲んだ事がない。
創業は1688年(元禄元年)。
300年を越える歴史の蔵だが、女優:杉田かおるプロデュースの米焼酎:呑杉田(のみすぎた)や洋食に合う日本酒:シャルウィダンス(=本酒)のような取り組みもされている。
さて本酒は、白ワインを買いに入ったデイリンクで見かけ、ブラインドで飲み比べたら面白いかなと思い購入した。
「ワイングラスで旨い」「洋食に合う」「ワイン酵母使用」などの表記にも興味を抱いた。
開栓初日。
後口に米の存在を感じさせてくれるが、とにかく甘い。
酸が効いていてくれれば良かったのだが、そんなところは感じられず。
これはお世辞にも「洋食に合う」味わいとは言えないのではないだろうか。
少々飲んだところでクロークにて常温保管することに。
3週間ほど経って味見をしてみると、甘さが抜け米感たっぷりの味わいになっていた。
「変化」という意味では、今のところ今年一番の驚きだ。
しかしこの時がピークだったんだろう。数日後、燗にして飲んでみたがイマイチだった。
出羽桜 特別純米酒 一耕 ★★★
山形県天童市 出羽桜酒造 720ML 1,182円 天満屋@西区草津新町
山形県天童市。
国産品の95%を生産する将棋の駒やサクランボで有名な同市は、広島人の多くが復活を待ちわびている栗原健太の出生地でもある。演歌歌手:天童よしみは、天童市の出身と思われることが多いそうだが、実は違う。
名付け親の竹中労氏が彼女の事を「天真爛漫な童」だと思い、名付けたんだそうだ。
本酒を醸す出羽桜酒造の創業は1893年(明治26年)。
歴代蔵元の紹介文を探し読んでみると、努力家で勉強熱心という印象を持つ。また、出羽燦々や雪漫々のイメージが強く、吟醸酒が良い蔵という認識を持っている。
メイン銘柄である「出羽桜」は、蔵の向かいにある舞鶴山の美しい桜にちなんで命名したとの事。
近年では海外輸出にも力を入れており、フランス・ドイツ・アメリカ・シンガポール・オーストラリアなどが主な輸出先だ。
そんな当蔵の酒は自宅でゆっくりと味わったことがなかったため、買い物で訪れたアルパーク天満屋の地下酒売り場で本酒を見つけ、購入した次第。
実際に飲んでみると、やや野暮ったさが残り、地味で旨い辛口純米酒という印象だ。
本酒に使用されている酵母は小川酵母といい、調べてみると協会10号酵母の通称ということが分かった。
酸が少ないことと高い吟醸香を出す事が特徴の酵母らしいが、本酒では後者の特徴は出ていないように感じた。
偶然外で飲んだくどき上手で小川酵母が使われていたが、こちらは香り立つタイプ。
作り手や水によって大きく左右されるんだそうだ。
鯵ヶ澤 山廃純米番外品 ★★★★
青森県西津軽郡 尾崎酒造 720ml 1,500円 てらや@中区富士見町
青森県西津軽郡鯵ヶ澤町(あじがさわまち)。
津軽半島の根元に位置する同町は、北は日本海、南は白神山地に接する。
近年ではイカメンチやヒラメのヅケ丼をご当地グルメとして推す動きがあり、「ヒラメとヅケどん」というイメージキャラクターを用いたPR活動を行っているとの事。
また、技のデパート本店の愛称で親しまれた舞の海秀平氏の故郷でもあるそうだ。
NAVITIMEによると、広島駅を7:30に出て飛行機・バス・JRを乗り継げば、鯵ヶ澤には14:24に到着するとの事。
所要時間は7時間6分であり、一泊二日の旅行が出来そうである。
鯵ヶ澤町の中でも最も海寄りにある漁師町(という地名だ)にあるのが、本酒を醸す尾崎酒造だ。
創業は1860年(萬延元年)。
酸度の少ないすっきりとした酒を、白神山地の伏流水で南部杜氏が仕込んでいる。
本酒は、ふらりと訪れた「てらや」で見かけ、ラベルを含んだたたずまいが良いなと思い購入した。
青森の酒は、田酒や豊盃、陸奥八仙が広島では知られているが、その他の蔵は飲む機会がなかったことも購入を後押しした要因となっている。
瓶口からは、ほんのりと酸が感じられる香りが立ち上ってくる。
香りはとても控えめな印象だ。
実際に飲んでみると、まぁるい乳酸系の旨味と辛味が感じられ、仕舞いの酸でスッと切れる。
コクはあるが強くなく、穏やかに旨い。
山廃と言っても色々な種類があるが、本酒は記述の通り、穏やかに乳酸系の旨味が楽しめる1本だ。続いて温めて飲もう
と思ったが、すでに空になっていた事が悔やまれる。
菊水 ふなぐち一番しぼり ★★★
新潟県新発田市 菊水酒造 200ml 278円 おかず工房@中区大手町
新潟県の北部に位置する新発田市(しばたし)。
薄力粉に黒砂糖と水、ミョウバン、炭酸を加え焼き上げた蒸気パンは当市の発祥であり、3本100円が相場との事。
その姿は茶褐色で細長く、やや扁平。もちもちとした食感だそうだ。
一般の小売店では見かけることは少なく、祭りやイベントの屋台で販売されているとの事。
毎年4月に菊水酒造で開催される「菊水観桜句会」では、蒸気パンを酒の肴にしつつ俳句を披露し合うそうだ。
ちなみに句会の主宰は、かの吉田類氏。
この句会の名は「舟」と言うそうだが、日本酒を絞る「槽(ふね)」・人々が縁あって乗り合わせる「舟」に由来するとの事。
吉田類氏らしいネーミングではないだろうか。
さて本酒を醸す菊水酒造は1881年(明治14年)の創業。
3代目の時代までは苦労が絶えなかったそうだが、4代目高澤英介氏の時代に大きく飛躍。
杜氏制度の廃止、機械設備の導入、缶入り原酒の発売など新しい取り組みを成功させている。
本酒については以前よりその存在は知っていたが、ある人から強く勧められたこともあって手に取った次第。
飲んでみると、生酒らしいフレッシュな旨味を包含しており、なかなかの旨さ。
温度が上がると少し嫌なところも感じ始めるが、悪くない一杯だと感じた。
美丈夫 純米酒 ★★★★
高知県安芸郡 濱川商店 720ml 1,050円 てらや@中区富士見町
高知県東部の町、田野町。
奈半利川(なはりがわ)の下流に位置し、南を太平洋に面する同町は、高地県内で最も面積が小さい自治体である。
人口は2,792人。回船問屋を営んでいた浜川金太郎氏が「浜乃鶴」の名で創業したのが、1904年(明治37年)の事。
それから苦難の時代を経て、1991年に5代目蔵元の尚明氏が立ち上げた銘柄が美丈夫(びじょうふ)である。
超軟水と言われる奈半利川の伏流水と松山三井と言う酒米で醸された本酒には、色男・男前という意味があるとの事。
別の酒を目当てに立ち寄ったてらやで見つけ、その安さに思わず衝動買い。
初日は、まぁるい口当たりでほのかに感じる米の甘みが好印象。
仕舞いの酸もいい感じで効いている。
開栓から数日経つとボディがグッと膨らみ、そこそこ旨味が乗った味わいになった。
これが1,050円なんて、とても買い得ではないか。
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コメント
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玉櫻美味しいですよね。私は直接蔵元へ赴いた事がありますが、親切丁寧に説明して下さったので、かなり好印象の蔵元として覚えています。
勿論oominさんの紹介しています、にごり酒は私が初めて美味しいと思ったにごり酒なんですよ。
お燗にしても美味しいにごり酒というのは余り無いと思います。
それぐらい印象に残ったにごり酒でした^^
全体的にここのお酒美味しかったな~。
天童市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。
鹿島市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。
岩国市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。
新発田市エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。
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いやぁ、玉櫻のにごり、旨かったです〜。
にごりは得意ではないので普段飲まないんですが、この時はご店主の熱意に負けて買いました。
他のスペックも飲んでみたいと思います!
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そういえば「出羽桜の一耕」アルパークで見ました。ちょっと古めだったのでスルーしましたが。
最近、「出羽桜」の山廃特別純米をフレスタの酒屋で見つけて飲んだのですが、特に特徴もなく…
「出羽桜」は他に出羽燦々記念とかいう純米吟醸を飲みましたが、微妙な。
吟醸の「桜花」の生酒以外どうも自分には合わないようです。
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僕も似たような感想です〜。