僕は出張で訪れたことがあるんですが、妻は初めてでしたので。
在来線の都合で滞在できる時間は1時間半。
当初はアウトレットに時間の大部分を使うつもりでしたが、僕らしいと言うか何と言うか、アリオ倉敷(アウトレットの手前にある商業施設)2階にあるお土産屋の岡山地酒コーナーにはまってしまい、30分以上使ってしまいました。。。
結局、アウトレットは早足で45分ほどの滞在時間でしたよ(苦笑)。
またゆっくり訪れたいと思います、はい。
福山への到着は18時頃。
駅ビル(さんステ)で休憩かたがた時間をつぶし向かった先が、広島を代表する日本料理店『阿じ与志』です。
快食.comのレビューを読んで以来、訪問を熱望しておりましたが、予算と距離の二つに阻まれ何年も宿題店のまま。
この度は、「第2回月夜の会@太閤」にご参加の方からお誘いいただき、踏ん切りをつけることができました。
お店の場所は、福山駅の南東に位置する昭和町。御船町交差点の南側、福山プラザホテルが目印にはいいかもしれません。
お店の前に立ち佇まいを見たとたん、「おぉ」と心の中で声を上げてしまいました。
大通りの喧騒を忘れさせてくれる佇まい。これは、とても雰囲気が感じられるお店です。
縦桟の戸を引きお店に入るとカウンター席があり、その向こう側に少し奥行きがある調理場が。奥には座敷もあるようです。
カウンターには見知った方が先に座っていて、初めてのお店だとそれだけでホッとするものですね。
再会の挨拶を済ませ、早速、料理を楽しむことに。
彼は『阿じ与志』にしばしば訪れている様子なので、勧めに従って注文してみました。
突出は里芋の煮物ウニ乗せと海老の小鉢の2品。
里芋は少し固めに茹でられ、そこにさらりと旨いウニが乗っていました。が、写真はそれを食べた後のもの。。。
敷かれているのは、大き目のニシ貝を煮てスライスしたものでしょうか。僕は一瞬アワビかと思い、ビビッてしまいましたよ(苦笑)。
驚いたのは出汁の旨さ。鰹の風味が凄いなと思いましたが、それに加えて小鉢に使った海老の殻の出汁も加わっているとの事。
この出汁だけで白飯が食べられる程です。
小鉢に使われている海老は近隣で採れた小さいのだそうです。この料理は鯵のたたきを作る要領で海老をたたいて作られた一品でしょうか。
白子酒に相棒になってもらい食べ進めてみました。
白子酒を作るプロセスを見ておりましたが、ふぐの白子を茹でて裏ごしし、そこに熱々の日本酒を注ぎ、泡立て器で混ぜて完成という手順。
白子由来の上品なコクは、ちょっと表現に困るほどの旨さ。「大人のミルクセーキ」というネーミングは、言い得て妙です。
お店の切盛りは、大将と女将さん、若大将と若女将(?)、妙齢(?)の女性の5名だったでしょうか。
大将も若大将もとても気さくで、笑い声が大きな方。こういう方がいらっしゃると、カウンターの楽しさが倍増します。
続いてはふぐを楽しもうと言うことで、鉄皿(てっさ)と南風泊(はえどまり)の2種を注文。
鉄皿はいわゆるふぐの刺身ですが、向こうが透けて見えるような薄さではなく、しっかりと厚みがあります。
そして色はやや飴色。これは熟成させた結果なんだそうです。
何も付けずに食べてみると、ガシッとした歯応えで非常に食べ応えあり。味は、これまた表現が難しいんですが、ふぐの旨味がしっかりと感じられ、ポン酢不要な旨さです。
このレベルのふぐを食べてしまうと、巷でよく言われる「カワハギのほうが旨い」という意見には賛同できなくなること間違いありません。
南風泊は『阿じ与志』オリジナルの提供方法との事。
表面を炙ったふぐのぶつ切りに白子を1つ丸ごと添え、その下に白菜等の野菜が敷かれています。添えられたかぼすをスライス面を上にして絞り(こうすると種が下に落ちない)、白子を潰し混ぜて食べるのが作法。
非常に贅沢な食べ方です。
※混ぜた後です。
個人的には、白子をそのままの状態で味わっていませんでしたので潰さずに食べてみたかったなぁと、これを書きながら思っております。
これは次への宿題ですね。
次は渡り蟹。サラマンダーで焼かれての登場です。
まずは蟹味噌。磯の香りが強く、かと言って臭みはなし。日本酒のあてに適した風味です。
蟹味噌を少し残して熱燗を注ぐと、甲羅酒に変身。個人的には甲羅酒ってピンと来ないんですが、その行為自体はなかなか楽しいものではないでしょうか。
蟹のエキス(?)を煮詰めたもの(?)。これは初めての経験でしたが、旨味がぎゅっと凝縮されて、その濃さに驚きました。
蟹の身。
ガブッとかぶりついて、殻は殻入れに吐き出すようにと言われましたが、焼き立てでしたので皮ごとバリバリ食べてしまいました。
カルシウム補給ですな(笑)。
品書きに好物の鰹を発見しましたので、鰹のタタキを。
鰹が見えないほどの香味野菜は、「これぞ香味」と言えるほどに風味豊かで刺激的な旨さ。鰹自体やポン酢も旨かったですが、僕には香味野菜の旨さが際立つ一皿と感じました。
そして、鉄皿の時に出たポン酢と鰹のたたきのポン酢では、醤油の濃度を変えての提供。
料理によって濃度を変えて出すのはアイデアとしては持ち得ますが、実践されているお店は記憶にはありません。
こちらは蟹の内子の昆布締め。
この手の素材って、どうしてこんなに日本酒に合うんでしょう。罪深いやつらですよ、ホント。
おかげでこいつがスススッと空いてしまいました(苦笑)。
赤なまこ、ふぐの中落ちの塩焼き、雲丹ご飯で、ひとまず終了。
このクラスのお店になると接待で使う方が多いでしょうから、その場合には座敷の利用になろうかと思います。
しかし何度か書いたことがありますが、こういうお店だからこそ、カウンターでお店の方とやり取りしながら飲み食いする方が、絶対に楽しいはず。
調理のプロセスは一種のエンターテイメントにもなり得ますし、自分が知らない事を色々お店の方から直接教えてもらえるのも楽しみの一つです。
変に知ったかぶりなんかしても、むこうはプロですから簡単に見破られてしまいます。なので、堂々と(!)教えて欲しいと伝えればいいと思うんです(笑)。
『阿じ与志』は、お酒を楽しむのではなく食べる事を楽しむお店。
そんなお店でも僕たちはお酒に走ってしまいそうですが、次は桜鯛か鱧かを狙って訪れたいと思います。
ごちそうさまでした!!!!!
(2012.12)
※岡崎さん、ありがとうございました。
※この後、「オルガーノ」と「駅前のおだいどこ」に行きましたが、飲みすぎにつき記事には出来ません(苦笑)。
■お店のデータ
阿じ与志
福山市昭和町10-6
0849315613
18~23時
定休日:日曜日
◼︎阿じ与志の訪問記
・阿じ与志2(2013.10)
・阿じ与志3(2014.8)
・阿じ与志4(2015.7)
・阿じ与志5(2018.2)
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■ 所在地別飲食店リストはこちらご覧いただけます。
コメント
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こんばんは。素晴らしいお店ですね、料理と云い、お客様に対する心掛け、気配り実にいいですね。福山には何気にすごいお店がありますよね。私も福山に何回かお肉の展示会があるので行くのですがお店の数も広島に負けないぐらいイヤ密度から云うと福山の方が多いような気がします。それにしてもいいお店ですね!!
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いや、実に素晴らしいお店でした。特に鉄皿は圧巻でした!
福山、旨いお店が多いですよね。
じっくりと探索したいです〜。