最近、親戚から黒霧島とダバダ火振、6年前の梅酒2種類(ホワイトリカー、ブランデー)を貰った。
そこでふと思ったのだが、自宅で焼酎を飲む事はあるが、ラベルをじっくり見た事がない。
この機会にしげしげと黒霧島のラベルを眺めてみると、そこには黒麹仕込と書かれていた。
『なるほど、だから「黒」霧島という事か。』と、今更気付いた訳だ。
調べてみると、「赤」霧島は芋と麹の反応でもろみが赤くなる所から名付けたとの事。
普段飲まないから、こういう事が分かると少し興味を惹かれてしまう。
今焼酎が身近にあるからだろうか、某書店で焼酎を特集したdancyuが目に入ったので購入してみた。
焼酎の事を今よりも飲み、知る事で、日本酒に関する理解が深まるかもしれない。
そんな事を思った先日の出来事だった。
(評価は、なし~★★★★★まで。あくまでも、個人の主観である。)
◼️幻の瀧 純米吟醸 ★★
皇国晴酒造 富山県黒部市 720ML 980円 ユアーズ@中区袋町
日本有数のV字谷、黒部峡谷を擁する富山県黒部市。市内を流れる黒部川の上流には、立山黒部アルペンルートの黒部ダムがある。
我々瀬戸内沿岸に住んでいるものからすると、比較的マイナー存在である富山県だが、その中では黒部市は高い知名度を誇る街ではなかろうか。
本酒を醸す皇国晴酒造(みくにばれしゅぞう)は、当地の中でも富山湾に近い場所で1887年(明治20年)に創業された。
北アルプスの雪解け水を由来とする湧水で酒を仕込み、毎日飲めるおいしい酒をコンセプトに酒造りをされているそうだ。
当蔵のツイッターで知ったのだが、元々は岩瀬酒造という名前の蔵だったそうだが、先々代の時代に改名されたそうだ。
なかなか強そうな名前だが、思想は中立的との事。
さて本酒は、ユアーズ4合瓶U1Kシリーズ(1000円未満)攻略の一環で購入した。
瓶口からは、たおやかに米の香りが感じられる。
実際に飲んでみるとほんのりとした米の旨味に辛さと酸味が絡んで、まあまあ旨い。
しかし、仕舞に残るセメダイン臭は少し苦手である。
今まで飲んできたU1Kの中では、やや劣る印象を持った。
◼️雁木another 純米無濾過生原酒 ★★★
山口県岩国市 八百新酒造 1,800ML 2,250円 石川酒店@西区古江西町
河岸で階段状になっている部分を雁木と呼び、かつては船着場として利用されていた。
広島市内では、平和公園内でもその存在が確認できる。
山口県岩国市にも同様に雁木があったそうで、それは本酒を醸す八百新酒造が面している今津川にも存在する。
その昔は、上流から運ばれてくる酒米を当蔵前の雁木で水揚げされ、受け取っていたとの事。酒名の由来もそこから来ているのだろうと推察される。
さて本酒は、いつもの石川酒店で勧められて購入。精米歩合が80%という点に興味を惹かれたのがその理由だ。
開栓直後。
瓶口からは米っぽく生っぽい香りが上がってくる。
飲んでみると、一口目の後口にはアルコール感が感じられたが、少し温度が上がるとそれは消え、旨味が乗って来た。
酸味による切れもなかなか良い。
冷やして二日目。
軽快な米の旨味を酸味が軽くいなす感じで、個人的には好きな部類だ。
2合程飲んだ所で4合瓶2本に分け、冷蔵庫と物入れの二ヶ所で保管する事に。
現時点でも常温の方が少し残っており、しかと乗った旨味をチビチビと楽しんでいる最中である。
安いのに、なかなかの酒だ。
◼️大七 純米生もと生原酒 ★★★★
福島県二本松市 大七酒造 720ML 1,680円 アバンセ@西区古江新町
以前もどこかで書いたかもしれないが、本酒を醸す大七酒造のある福島県は、銘酒が集まる都道府県として知られている。
飛露喜・奈良萬・会津娘・國権などがあり、名を聞けば旨い事で知られる蔵が多い。
その中でも大七酒造(だいしちしゅぞう)は、どの酒も安定感のある旨さで、なかなかの蔵という印象だ。
当蔵は1752年(宝暦2年)創業の老舗蔵で、全量生もと造りをされているとの事。
本酒は、買い物に立ち寄ったアバンセ古江店で見かけて購入した。
開栓すると、瓶からは米感が強そうな香りが漂う。
実際に飲んでみると、丸い口当たりの後に、米の旨味がズンと来る。
それを受け止めた直後には、旨辛が押し寄せて来て、これは流石の旨さだと感じさせてくれる。
本来なら燗にする等、幾つかの温度帯でゆっくり楽しむべきなのだが、酒好き2人を前にしてしまったため、残念ながら一晩と持たずに空いてしまった。
◼️東洋美人 特別純米 ★★★
山口県萩市 澄川酒造場 720ML 1,365円 フレスタ@佐伯区海老園
本酒を醸す澄川酒造場(すみかわしゅぞうじょう)は、日本海側の萩市に1912年(大正10年)に創業した酒蔵である。
米が採れた田の番地を銘柄名とした「番地シリーズ」は、単一の田で採れた米を使う事でその土地の個性を表現すると言う試みで、いわゆるテロワールを意識されたそうだ。
当蔵のある萩エリアには6つの酒蔵があり、7蔵を擁する徳山エリアに次ぐ酒蔵数を誇る。
なお、その内の4蔵(澄川酒造場:東洋美人、中村酒造:宝船、岡崎酒造場:長門峡、岩崎酒造:長陽福娘)は飲んだ事があるが2蔵(八千代酒造:八千代、阿武の鶴酒造:阿武の鶴)は未飲であり、実はこの記事を仕上げている今日、当地に出向き購入する予定としている。
さて本酒は、フレスタが扱いを始めた事をフェイスブックで知り、買い物ついでに購入した次第。
帰宅後、冷やしてから飲んでみると、吟醸酵母っぽい華やかな香りと旨味が強い印象を受けた。
キンと冷えてないと切れはやや悪く、くどさを感じる。
五年ほど前に飲んだ蓬莱鶴の純米大吟醸と同じ印象だ。
◼️渡舟 純米吟醸 ★★★★
茨城県石岡市 府中誉 720ML 1,575 円 天満屋@アルパーク
本酒を醸す府中誉があるのは茨城県である。
関東の中でもどことなく地味な存在で、そもそも読み方(いばらき、が正解。)を間違われる事が多い。
都会のイメージがある神奈川、東京隣接でディズニーランドを擁する千葉、群馬・栃木・埼玉に至ってはその存在を自虐的に表現する事でアピールできているように、個人的には感じる。
一方、茨城は、先の震災でも被害が大きかったが報道される事が少なく、復興に苦労されたと聞いている。
歴史を紐解くと、江戸時代には徳川御三家の一角を担い、天下の副将軍水戸光圀や15代将軍徳川慶喜らを排出。
その他には、間宮林蔵(蝦夷地測量)・平将門(平安中期の豪族)・中臣鎌足(大化の改新)・横山大観・水戸泉・稀勢の里などの出身地としても知られており、なかなかの人材を排出している印象だ。
さて当蔵の創業は、江戸末期の1854年(安政元年)。
所在地が石岡市国府とある事からも分かるように、常陸の国の国府が置かれた地、いわば府中と呼ばれた地名に蔵の名前は由来していると思われる。
さて本酒は、アルパーク天満屋の地下酒売場で出会い、次に掲載した酔鯨と共に購入。
開栓直後。
米感のある旨そうな香りが瓶口から立ち上がってくる。
ぐい呑みに注ぎ初めは薄い黄色だが、満たされるにつれて徐々に黄金色になって行く様を見るのは、なかなか良いものである。
実際に飲んでみると、生酒のような雰囲気があり、旨く辛く苦い。
喉の入り口を高い度数のアルコールが刺激するが、悪い気はせず、むしろ心地良く感じる。
二杯目からはドライフルーツのような甘さが感じられるなど、変化も面白く感じた。
なお本酒に使われている渡舟と言う酒米は、山田錦の親との事。
ちなみにもう一方の親は山田穂と言う。
某店で田酒の渡船と山田穂を飲み比べる機会があったのだが、一杯の値段が高過ぎて結局飲まなかった。
あれ以来、機会が訪れていないが、次の機会には逃さず試してみたい。
◼️酔鯨 特別純米 ★★★
高知県高知市 酔鯨酒造 720ML 1,008円 天満屋@アルパーク
高知県には酒造組合加盟ベースで18の酒蔵があり、広島では美丈夫・南・土佐鶴・菊水(四万十川)・土佐しらぎく・亀泉・司牡丹、酔鯨が手に入ると記憶している。
さて、本酒を醸す酔鯨酒造の創業は1872年(明治5年)の事。
当時の事は分からないが、現在では高知市内唯一の酒蔵だそうだ。
酔鯨と言う名前の由来は、土佐藩主:山内容堂にあるとされている。
酒と詩歌をこよなく愛した山内は、外出時には腰から赤ひょうたんを離さなかった程で、自らを「鯨海酔候」と称したそうだ。
それに由来した酔鯨は、飲んでみるとさらっとした酒質で、スルスルと喉を落ちていく。
これは飲み過ぎてしまうタイプの酒で、鯨でも酔ってしまうのも無理はない。
思ったほど辛口ではなく、鰹の血合いが似合いそうな所も、どこか味わい深く感じた。
◼️誠鏡 純米たけはら ★★★
竹原市中央 中尾醸造 720ML 1,195円 ユアーズ@西区庚午北
1871年(明治4年)に「廣島屋」の屋号で酒を醸し出始めた中尾醸造(なかおじょうぞう)。
当蔵の主力銘柄には「幻」という酒があるが、これは昭和23年頃に皇室新年御用酒として造られていた酒を忠実に再現したものだそうだ。
「幻」には当蔵発祥のリンゴ酵母が使われており、香り高い酒との事だ。
一方で、誠鏡は当蔵の定番商品。
「蔵人の真心を映し出す鏡のような酒であってほしい」という願いから名付けられたとの事。
実際に飲んでみると、地味ではあるが落ち着いて飲める酒でなかなか旨い。
この酒は常温で飲み続けてみたが、もちろんぬる燗でも良い顔を見せてくれるに違いないと感じた。
コメント
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私は、夏は四合瓶を冷で、冬は一升瓶を常温か癇で飲んでますが、「誠鏡」は冬に買う一升瓶の一番手です。なのでお燗してもおいしいお酒であることは保障できます。
一番手の理由は味だけではなく値段とのバランスもありますが・・・。
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味もさることながら、お値段は大事です。
誠鏡や亀齢はコストパフォーマンスが良いなと思います〜。
夏も一升瓶を買って、冷蔵庫と常温で分けて保存されてはいかがですか?
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この「東洋美人」をフレスタで買っていたので飲みました。
なかなか濃い酒でやや甘口っぽいけど後味はちょっと辛い。個人的には結構好きかも。ただoominさんは温度をいろいろ変えて飲むみたいだから全体評価は低めだったのかな。自分は冬でも冷酒オンリーなので「田酒」とかはやや物足りない印象が。
誠鏡は「幻」の純米吟醸を最近飲んだけど、癖もなく飲みやすい酒でした。ただすっきりしてやや薄い味な印象かな。
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外で飲む東洋美人はそう感じないんですけど、家で飲んだのは切れがなくくどく感じましたねぇ。
香りも華やかすぎるように感じましたが、この辺りになると好みの問題でもありますので、一概にどーこー言えませんね。
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東洋美人2日目を飲んだのですが、確かにくどいと言えばそうなのかな。あとフレスタで買った「黒牛」にも似てる気が。
ちなみに「切れ」のある酒というのは「宝剣」のようなすっきり系のことですか?
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僕の思う「切れ」のあるお酒とは、味の濃淡ではなく、後口にベタッとした味やしつこいと感じる風味が残らないお酒です。
宝剣のようにスッキリとして後口サラリと言うのもありますし、悦凱陣や笑四季のように濃醇でありながら酸味や苦味、辛味で後口スッキリタイプもあります。
米感ある風味を余韻として残しながら、後口さらり。
こんなお酒が好きです。
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偶然にも夏の四合瓶一番手は「亀齢」の純米です。CP重視がバレバレです。
oominさんは家でもバラエティに富んだ日本酒を飲んでおられますね。私も外ではいろいろ飲んでみようと思うのですが、家飲みでは保守的な選択に落ち着いています。
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確かに家で色々と飲んでいますが、割と似たり寄ったりなんですよ。
それでも1〜2年に1本は、心ときめくお酒に出会うので、ランダムに飲むのが辞められないんです(笑)。
もし、ヘビロテするなら、竹鶴や亀齢ですけどね(笑)。