6月は7本。
本数はそこそこで、チャレンジ銘柄にも手を出し、満足のいく月だったように思う。
広島県内の日本酒を一通り飲んで以降(と書くと語弊があるが、各蔵最低1種類は飲んだという事に過ぎない。全種制覇ではなく全蔵制覇)新しい目標を設定せずにいたので、日本酒に対するモチベーションが下がっていた。
酒は嗜好品なので、目標なんぞは設定せずに思うままに飲めば良いのに、と思うこともある。
しかし、目標として設定したテーマについて掘り下げていくのはなかなか楽しい作業であり、テーマが完遂した時の達成感はなかなかのもの。
なかなか次の目標を決めあぐねていたんだが、この6月に新たな目標を見つけることが出来た。
そのきっかけをくれた船本さんに感謝しなくては。
(評価は★★★★★~なしまで。あくまでも個人的な好みが判断基準。)
◼️人気一 純米大吟醸ゴールド人気 ★★★
福島県二本松市 人気酒造 720ml 1260円 フレスタ@佐伯区海老園
「人気一」とは面白い名前のお酒だ。
酒造会社の名前も酒名ほぼそのまんまの人気酒造。
昔ながらの蔵を若い跡取りが改名でもしたのかなと思い調べてみたが、どうもそのような痕跡は見当たらず。
しかし、オールアバウトの記事を読んでその秘密が解けた。
人気酒造は、明治30年に創業した大内酒造(福島県二本松市)の代表兼製造部長:大内氏と奥の松酒造(同じく二本松市)にいらした遊佐氏が立ち上げた酒蔵という事だった。
おそらくは大内酒造の事業を継承して立ち上げたということだろうか。
さて本酒との出会いは、いつものフレスタで。
既に他のお酒を握り締めていたんだが、本酒のラベルに惹かれてこちらを買って帰ってしまった次第。
思いの外安価だったので、普段あまり買うことのない純米大吟醸を購入してみた。
開栓初日~3日目までは仕舞の渋みが強すぎて、とてもじゃないが僕には飲みこなせない味わい。
裏書には「辛口だが辛すぎず、キレイな酸、ほんのりとした甘みと軽快な後味、しっかりとした味わいの純米大吟醸」とあったが、そのような味わいではなかった。
開栓5日目から渋みが和らいできて7~10日目辺りでは許容範囲に。
その代わりに旨味が乗ってきて、そこそこの味に変化したと感じられた。
僕自身が渋みに敏感なのかもしれないし、つまみとの組み合わせが悪いのかもしれない。
もしそうではなく、これが本酒本来の姿であるならばオススメしにくいお酒と言わざるを得ない。
それでもこの星の数をつけるのは、これが本来ではないと感じているから。
早めに他のスペックも飲んでみたいと思う。
◼️百楽門 純米吟醸生原酒 ★★★
奈良県御所市 葛城酒造 720ml 1,313円 石川酒店@西区古江西町
いわゆる夏酒というカテゴリーの商品。
夏酒は軽すぎて個人的には推奨しないし、自分自身としても飲まないのだが、本酒は無ろ過生原酒というスペックだし、酒米が露葉風(つゆばかぜ)ということもあり購入してみた。
本酒を醸す葛城酒造があるのは奈良県御所市。
当蔵は、奈良県神社庁の新嘗祭用の濁酒を菩提もと造りで醸す蔵としても知られている。
炭酸ガスのため瓶の上部に米粒が浮き上がってくるお酒だそうで、物珍しさからではあるが、機会があれば一度飲んでみたいと思うお酒だ。
葛城酒造は瓶燗後に0度の低温で熟成させてから出荷するらしいのだが、そんな蔵が出してきた夏酒とは如何に。。。
開栓初日。
アルコールのピリピリ感が強めで、出荷するにはちょっと早いんじゃないかと思わせる味わい。
開栓3日目にはピリピリ感も落ち着いてきたが、1週間経っても消える事はなかった。
◼️外ヶ濱 FLOWER SNOW 特別純米生酒 ★★★
青森県青森市 西田酒造店 720ML いただきもの
友人からちょっとしたお祝いでいただいたもの。
お酒の名前を見てピンと来た方はかなりこの蔵のお酒が好きな方ではないだろうか。
本酒は田酒で有名な西田酒造店が醸したお酒で、いわゆる活性にごり。
西田酒造店は1877年(明治11年)の創業。
田酒の「田」は、米が取れる田を示すほか、田以外の生産物である醸造用アルコールや醸造用糖類は一切使っていない事を示しているとの事。
個人的には、旨味が芳醇すぎて切れが感じられないため少し苦手にしているお酒だ。
本酒は活性にごりということもあり、瓶内に炭酸がかなり残っているタイプ。
シャンパンと同じで開栓時にはゆっくりと時間を掛けて開けないと、中身が噴出す恐れがあるので要注意だ。
実際、本酒を開栓する際には10分近く掛かった。
味わいとしては田酒ならではの芳醇な旨味は少なく、活性にごりらしい低音域の米の旨味と仕舞の苦味が効いていてなかなか旨い1本だった。
◼️日下無双 純米生 ★★★★
山口県岩国市 村重酒造 720ML 1,380円 酒遊館@大竹市晴海町
蔵については2012年1月の記事を参照の事。
最近友人たちの間で評判が高い日下無双。
蔵元を招いて村重酒造の会や日下無双の会を各所で開いているようだが、残念ながらまだ参加した事がない。
本酒は「寅卯」という立ち飲み屋で一度飲んだ事があるが、家でゆっくりと飲んでみたいと思い購入した次第。
まず驚くのは、その瓶の色が赤と言うこと。
日本酒は紫外線や蛍光灯の光に弱いため濃い茶色や緑の瓶を使うことが多いが、赤は本酒で初めて見た。
その味わいは生酒らしい旨味がしっかりと乗っていて、割と万人に受けるタイプではないかと感じた。
今年の内に別スペックを何本か飲んでみたいと思う。
◼️長門峡 無ろ過純米 ★★★
山口県萩市 岡崎酒造場 720ML 1,480円 酒遊館@大竹市晴海町
石高600石ほどの小規模な酒蔵である岡崎酒造場は、東洋美人を醸す澄川酒造場と同じ萩市にある。
創業は1921年(大正10年)で、元々は「長門峡」という景勝地の近くに蔵を構えていたが、1968年(昭和45年)にダム建設の関係で現在地に移転したとの事。
本酒に関しての情報はこの位のもので、お酒自体も僕が知る限りではあるが広島市内の酒販店で置いているのを見た事がない。
本酒に使用されている酒米は、無農薬・無化学肥料で栽培したイセヒカリ。
この米は伊勢神宮の御神田で、台風の後、コシヒカリの稲が横倒しになっている中にスーッと一株だけ立っていてみつかったという由来を持つ新品種の希少米とのこと。
何だかありがたい感じの米らしい。
開栓初日は、微妙な穀物感に支配され、味わいのほうも微妙。
日本酒度+5とは思えない甘さも、こうなってはいい印象は残らない。
開栓4日目には微妙な穀物感が抜け、甘さも穏やかになりそこそこの味わいへと変化した。
他のスペックはどうなんだろうか。
今後機会があれば米違いを飲んでみたいとは思う。
◼️酒呑童子 京女 特別純米酒 なし
京都府宮津市 ハクレイ酒造 720ML 1,327円 アバンセ@西区古江新町
「由良の戸を、わたるふなびとかぢをたへ、ゆくえもしらぬ恋の道かな」と百人一首にうたわれた、京都府宮津市の丹後由良。
前は日本海、後ろは大江山連峰由良岳を配すこの地に、1832年(天保3年)創業したのがハクレイ酒造。
昨年の10月に「のづ酒店」で飲んだ酒呑童子が旨かったので、アバンセで見つけた本酒を購入してみた。
開栓し、一口飲んで驚いたのだが、本酒のテイストは僕が苦手とするチョコミント系。
呉市・林酒造の「こいこい昇運酒」、奈良県・久保本家酒造「生もとのどぶ」(どぶは、何度か飲んだ内の1回だけ)で体験したものよりも柔らかいが、これは紛れもないチョコミント系のフレーバー。
変化する事に期待して、ただいま常温保存中である。
◼️燦然 純米 ★★★★
岡山県倉敷市 菊池酒造 720ML 1,386円 石川酒店@西区古江西町
「旨い酒が欲しい。」と、いつものように無茶振りをして石川酒店の店員を困らせてしまったが、そこそこ旨味が乗っていると勧められた本酒を購入。
実は、入荷直後から気にはなっていたお酒だ。
燦然を醸す菊池酒造は、1878年(明治11年)にこの地の庄屋であった菊池家の蔵を利用し、創業。
社長で杜氏の菊池氏は、倉敷管弦楽団の常任指揮者という一面も持っており、酒造りの期間中は自らが選んだモーツァルトを流す試みをしているとの事。
開栓初日から5日ほどで飲み切ったが、味の印象は変わらず。
中音域の米の旨味がベースとなり、少しの苦味で仕舞はさらっと。
いつまでも飲み続けられる酒質で、久々に一升瓶での購入を検討したほどだ。
日本酒が好きな方にこそ勧めてみたい。
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